« 本ほんご本 | トップページ | 本ほんご本/ヘボン/沼間守一/フルベッキ »

2009年7月23日 (木)

本ほんご本/柴五三郎/小野友五郎

     <本>
   『明治の兄弟 柴太一郎、東海散士柴四朗、柴五郎』/柴五三郎

    柴家の子どもは男女11人、そのうち男子は5人で表題の3人の他に次男謙介(戊辰戦争で戦死)、三男の五三郎がいた。 五三郎は京都守護職となった会津藩主の供をして上京、御所を守って長州勢と戦う。 槍が得意な五三郎であるが負傷してしまう。が、傷の手当をするとすぐ戦場にとって返す強者だった(「禁門の変と五三郎」)。 元気と勇気は人一倍の五三郎だが、時の流れには逆らえず世の中はひっくり返り、働き場を求めるも道は開けない。 その間、兄弟たちはますます飛躍、遠くヨーロッパへ赴任することも。故郷には老いた父が一人、戊辰戦争の犠牲となった一族や自刃した母や妻、娘の墓を守っている。そこで五三郎は会津の父のもとに帰還する。 世の中が大転回するとき、多くの人間がヒドイ目に遭う。 幕末明治をたどっていると、日本のために命がけで働く人物に感銘する一方、苦労するだけさせられて名を残すこともなく死んでいった人々が大部分だと気付く。  五三郎も飢餓に苦しみ悲惨な境遇は賊軍といわれた他の武士と同じだが、彼が遺した『辰のまぼろし』を読むかぎり、現実を受け止め男らしくさっぱりしている。自らの立身を捨てて親兄弟に尽くした五三郎は、ある意味家族の犠牲になったのかもしれない。“愛すべき男”五三郎ファンは他にもいそうな気がする。

  <ほん>
 土日の高速道路が千円という夏、高速バスで信州松川町の親戚を訪ねた。桃や梨、果物畑の向こうに山々が連なっている。あの山の向こうは?と聞けば木曽だという。木曽といえば島崎藤村、「木曽路はすべて山の中」で始まる『夜明け前』が思い浮かぶ。主人公の青山半蔵は幕末維新の大変革の時に流転している。柴太一郎が江戸と京、下北半島から九州まで駆けめぐった時節と重なる。読みかえしてみようかな。

. < ご本>

 『怒濤逆巻くも』(どとうさかまくも)  幕末の数学者 小野友五郎 (鳴海風著 新人物往来社)

  数学好きですか? 私はさっぱり。まして数学者など敬遠ですが小野友五郎の名にひかれて読みました。NHKテレビ[プロジェクトX]は、逆境を智恵と勇気で切り開く人々を紹介して人気でした。

 友五郎の生き方はそれを思い起こさせます。  若き友五郎は黒船が押し寄せ開国への道を歩む日本のため、小栗上野介、ジョン万次郎、長崎海軍伝習所卒業生らと働きます。高い数学力はオランダやアメリカの新知識吸収を容易にし、得た技術を実地にいかし成果をあげます。実務で身分の階段をかけ上り、笠間藩の下級武士から幕臣になりました。  日本人初の太平洋横断を成功させた咸臨丸、艦長は勝海舟、友五郎は航海士として乗船、福沢諭吉も軍艦奉行の従者として同船していました。勝海舟と福沢諭吉には良いイメージが一般的ですが、友五郎が二人を見る目は厳しい。それは航海中の体験、または実務家の目からでしょうか。
 のちに友五郎は咸臨丸艦長となり小笠原諸島回収のため小笠原調査に赴きます。かと思えば再び渡米、南北戦争後のアメリカで軍艦の買い付けをします。その間にも蒸気軍艦の国産、製鉄所(後の横須賀造船所)設立など忙しく、家庭をかえりみる暇がありません。妻が心を病み友五郎は仕事を休みます。が、遅かった。
 妻は自ら命をたち、さびしく悔いの残る日々を過ごします。しかし時代は彼を必要とし、仕事に戻った友五郎は昇進を続け、再婚もします。  開港した日本、その変化は留まるところをしりません。ついに時代は暗転、江戸幕府は倒れ明治維新となります。 新政府はいったんは友五郎を罰しますが、その能力を必要として官に招きます。友五郎は海軍への出仕を断り、鉄道建設に測量技術を役立てました。

  明治の世。友五郎は道を開いてくれた恩人、小栗上野介が殺された水沼河原を訪れました。そこにはもの悲しい風が吹いてい、国を憂え身を惜しまず働いた小栗の悲惨な死を悼むかのようでした。たたずむ友五郎の声にならない詠嘆が胸に迫ります。あなたも小野友五郎とともに時代の波をかぶり波濤を越えてみませんか。(2003年)    

|
|

« 本ほんご本 | トップページ | 本ほんご本/ヘボン/沼間守一/フルベッキ »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

「歴史」カテゴリの記事

コメント

会津若松図書館ですね、ありがとうございます!確かに地元の古書店には何か貴重なものが残ってそうですね。国会図書館デジタルコレクション時々見てますが会津の郷土史ものは未チェックでした。見てみます!ありがとうございます。

投稿: aja | 2017年11月20日 (月) 22時27分

 柴五三郎ファンとして、お問い合わせ嬉しいです。
会津若松市立図書館に原本が保存されています。どうぞ、検索してみてください。また、書名は忘れましたが、会津郷土史会とか史談会などの雑誌が若松市内の古書店にあったので、図書館にもあるかもしれません。
こちらの方が聞き書きとかなにかありそうです。
 もうご利用かもしれませんが、国会図書館デジタルコレクションも著作権のきれた書籍、郷土誌などかなり閲覧できます。
どうぞ、発見がありますように。

投稿: 中井けやき | 2017年11月20日 (月) 18時33分

初めまして。柴五三郎を調べていまして、こちらを訪問させていただきました。僕は長野在住の柴と言います。個人的にも郷土史を中心としたホームページなど作っていますが、柴家の歴史として会津の柴をいろいろと調べているところで、柴五三郎の「辰のまぼろし」の存在を知りました。こちらの書籍はどこを探してもあまり情報がなく・・・・こちらで読んでらっしゃる記述がありましたので、どちらで閲覧、あたは購入できるものなのか、教えていただければありがたいと思いまして書き込みいたしました。

投稿: aja | 2017年11月17日 (金) 08時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/571785/50820683

この記事へのトラックバック一覧です: 本ほんご本/柴五三郎/小野友五郎:

« 本ほんご本 | トップページ | 本ほんご本/ヘボン/沼間守一/フルベッキ »