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2018年3月31日 (土)

『明治の一郎 山東直砥』 (和歌山県)

Photo  このたび 『明治の一郎 山東直砥』出版しました。
出版まで編集者と意見交換はいいとして、時にぶつかったり、その間に長くかかりました。
 主人公の東奔西走に振り回され、やんちゃに突っ込みを入れたくなったり・・・・・・ 資料が少なく苦労しましたが、今はこんなに面白い人物を世に出せラッキーと思っています。
 前著『明治の兄弟 柴太一郎、東海散士柴四朗、柴五郎』とまた違う明治人・山東直砥を知っていただけたら嬉しいです。 

 山東一郎のち山東直砥を知ったのは、東海散士柴四朗が学んだ英語塾(北門社新塾)の主宰者として、 はじめ高野山の僧だったが、キリスト教徒になったという。幕末・明治の激動期、意気盛んな若者ほど悩み、動揺するだろう。だが、それにしても振り幅が大きすぎる。どこをどうして、そうなったか気になった。
 また、塾のあった場所が、筆者が閲覧に行く早稲田大学の敷地というのも縁がありそうで、資料探しに力が入った。そして、やはりというか図書館に山東の作品が載った漢詩文集があった。

 国会図書館のデジタル図書館にも助かったが、足跡をたどり現地にも行かないと。
 それで、高野山をはじめ北は北海道函館、南は九州長崎・熊本ほかでかけた。なかでも世界遺産「明治日本の産業革命遺産・高島炭鉱」跡地に立ったときは、ここで山東や後藤象二郎が仕事をしていたのが想像できて、主人公への想いが深まった。今は長崎港外の高島まで、飛行機と船で苦もなく行けるが、昔の旅人にとって船があったにしても大変だったと思う。

 「明治の一郎」 幼名は長之助、高野山の僧時代は智賢、勤王の志士・新政府役人・英語塾時代は山東一郎、神奈川県庁役人の時から山東直砥を名乗る。
 主人公は身一つで故郷和歌山を飛び出し、北海道から長崎まで文字通り奔走。ときには船旅、なかでも坂本龍馬夕顔丸に同船できたのはよかった。龍馬のおかげで後藤象二郎をはじめ土佐人の友人を何人も得られたし、同郷の陸奧宗光とも出会えた。
 そうかと思えば、カラフト探検をした岡本監輔と二人して蝦夷地とよばれた北海道に渡る。そしてロシア人宣教師ニコライにロシア語を習う。

 山東直砥と改名してからは開港地横浜で、神奈川県参事(今の副知事)として行政に携わり政府と交渉したりした。そのなかで明治政府の役人だった渋沢栄一を知る。やがて、互いにその職を辞すが、二人は行をともにしたり、家族ぐるみの交際をするほど親しくなる。その後、渋沢は言うまでもないが、山東も活躍の場を広げる。

 時代に先がけ活版印刷による出版、天然氷の時代に機械製氷の会社経営。出版した英語辞書や書籍は大学・国会図書館に現存する。また、漢詩を詠み、書道に励む精神的ゆとり、信仰について悩む姿もすてがたい。話し出すと切りがないので目次をおおよそ掲載する。
 なお、巻末に参考文献人名索引をつけました。

        黄口の巻
 高野山で修業、逃げ出す  阿波で宗門改  河野鉄兜  尊皇攘夷  松本奎堂  岡鹿門  松林飯山  双松岡の学僕  本間精一郎 
 淡路島  天誅組旗揚げ  悲惨な逃避行  松本良順・林董兄弟  ヘボン塾  伴鉄太郎塾でABC

         青雲の巻
 宣教師ニコライ  岡本監輔  薩摩藩士・堀基  後藤象二郎  坂本龍馬暗殺  
 箱館裁判所  柳田藤吉  箱館戦争  松浦武四郎  木戸孝允の好意を謝絶
 北門社新塾  生徒列伝(首藤隆三・福島安正・柴四朗(東海散士)・大谷木備一郎・那珂通世・小村寿太郎・肝付兼行・松平義生・瀬谷鉞三郎・那珂通世) 
 清水卯三郎  印刷機と福澤諭吉  薔薇の一郎  

         朱墨の巻
 陸奧宗光と林董  神奈川県出仕  高島嘉右衛門  マリア・ルス号事件  津田出  開港地・居留地  グッドバイ  石坂昌孝  邏卒(ポリス)  横浜税関長星亨  仮名垣魯文   漢詩人森春濤    
 西南戦争と政府転覆事件  板尾新次郞    
 高島炭鉱出張  マセソン商会対星亨  交詢社  粉河騒動  猛山学校  実学社

         紫嵐の巻
 薔薇楼出版  『上海繁昌記』  『新撰山東玉篇 英語挿入』
 島田蕃根と岩橋万蔵  明治の大出版『縮刷大蔵経
 預ヶ金取戻し裁判  鹿島岩蔵  親友兒玉仲児  猛山学校  内国勧業博覧会

         緑水の巻
 東洋製氷会社  芝麻布共立幼稚園  日本美術協会  下村房次郎  大同団結運動
 香蘭女学校  明治学院  青山学院・石坂正信  
 帝国憲法  種痘医・大野松斎の碑  
 日本貿易協会  大津事件  大火傷と信仰  『悔改事歴』  宮崎湖処子(八百吉)
 シカゴ万国博覧会  画報社創立  日清戦争   

        墨花の巻
 東京美術学校  板尾新次郞  南葵文庫  紀伊友愛会原胤昭  『実験上の宗教』
 帆足義方の諭し  平岩愃保  星亨暗殺  星月夜 

              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『明治の一郎 山東直砥』 訂正。 p273後から8行目 
        一八七九(明治十二)      一八七八(明治十一) 

 

                 ********

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コメント

私は以前、紀陽銀行に勤務しておりましたが、山東永夫頭取時代に秘書課に在籍しておりました。その時、山東直砥は先祖であることを聞かされておりました。確かその頃、山東直砥さんは、和歌山の先覚文化功労者表彰を受けられ、その遺族ということで、山東頭取が受けられたと記憶しております。
昨日の日経新聞をで記事を拝見し、また、山東昭子議員が立候補する時に頭取にお会いに来られたことを懐かしく思い出しました。是非、出版されたご本を読ませていただきます。

投稿: 西 洋 | 2018年5月 5日 (土) 08時41分

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