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2009年9月22日 (火)

本ほんご本: 『ヤング・ジャパン――横浜と江戸』

 今年は横浜開港150周年」港横浜ではいろいろな記念事業があり、お出かけになった人も多いでしょう。自分もおなじみ馬車道日本大通り周辺の歴史的建造物、ガス灯発祥の地、山下公園(フランス波止場跡)、氷川丸などなど見学してきました。
 もちろんペリー来航時の横浜村の面影や資料を収集展示してある横浜開港資料館神奈川県立歴史博物館(旧横浜正金銀行)も短い時間でしたが見学しました。Photo_10 

 

 図は神奈川県立歴史博物館。屋上のドームは円形に見えますがドームの中に入ると八角形と分かります。
 この建物は、貿易通貨(正金)の供給流通を促進する機関として1880(明治13年)開業し、その後明治32~37年にかけてネオ・バロック様式の壮麗な正金銀行本店として建設されました。
 関東大震災にも耐え今に明治の面影を伝えています。

 正金銀行の営業の一端を見るに、たとえば陸軍中佐・柴五郎カリブ海のアメリカとスペイン米西戦争観戦武官としてアメリカに出張したおり、ニューヨークの横浜正金銀行支店から費用を受取ってワシントンに赴き活動をはじめている。

Photo_9  開国すると外国人がすぐ来日したが横浜居留地ではどのように生活し、江戸を往復し何を見、何を感じたでしょうか。イギリスの新聞記者の『ヤング・ジャパン(横浜と江戸)』という記録があります。興味のある方は、だいぶ前に書いた古いお勧めで恐縮ですが読んでみてください。
 

 

 

 

 

 

 

『ヤング・ジャパン(横浜と江戸)』全3巻
  (東洋文庫 J・R・ブラック(写真)著 ねず・まさし他訳)

 

Photo_3
 平成8年2月、司馬遼太郎氏が死去した。数多くの名作で楽しみを与えてくれ、優れた文化論で日本人に大きな影響を及ぼした作家の死は、惜しんで余りあります。
 氏が地道に史料を読んだ上で書いていると身近に感じたことがある。明治の軍人について調べた時、義和団事変の諜報報告(防衛研究所図書館蔵)を見たその後に『坂の上の雲』を読み、諜報を読んでいなければ書けないエピソードが出ていて、大作家も同じものを手にしたと感動したものです。
 それと同じように「もとのもの、生に近いもの」を知る楽しみを与えてくれる本があります。

 

 『ヤング・ジャパン』は1858(安政5)年から77(明治10)年までの横浜居留地江戸を中心にペリー来航後の日本を冷静な目で描いている。治外法権のある居留地の外国人の新聞は幕府や明治政府の干渉を受けなかった。その新聞を基礎に震天動地の乱世、次々にやって来る外国との応接・紛争・ミカドと将軍の関係・暗殺までも客観的に記し、読み物としても文献としても貴重です。

 

Photo_4
 中味は<幕府は外国人を保護出来ない、江戸開市に関する幕府の不安>の見出しで本文は13行といったぐあいである。分かりやすい見出しと長くても2ページ前後の本文で読みやすい。
左の写真は目次の一部

 幕末明治の激動が行間から立ち上がってきます。読んでみませんか。

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