本ほんご本: 『十二番目の天使』
2009.9.13 アメリカ大リーグ・マリナーズのイチロー選手が9年連続200安打を達成した。メジャー新記録である。その瞬間をテレビ中継で楽しんだ人も多い。私もその一人。
テレビスポーツ観戦の楽しみは生中継である。それを見なくてもニュースで繰り返されるが、その瞬間に立ち会うと現場でなく画面の向こうでもうれしい。
わが家は野茂英雄投手がメジャーリーグに行ったとき、野茂を見たくてNHK・BS放送を申し込んだ。今、野茂がいなくなってさびしいが、次々と日本人メジャーリーガー誕生で枚挙に暇がない。今は松井秀喜選手を応援している。余分なことを言わず黙々と野球に励む姿は男らしい。
そんな彼らも野球少年の時代があった筈、プロになれる少年は子どもの時から上手だったでしょう。でもたいていの少年は練習についていくだけで大変。アメリカ少年野球チームエンゼルスの12番目の少年ティモシーはちっちゃいし、フライも満足にとれないし、それはそれは大変。そんなティモシー君の
物語『十二番目の天使』読んでみませんか。何軒かの古本屋さんで105円で売っていましたよ。図書館で借りても。
ところで何でそんなにお勧めか、7年前に書いたものですが読んでみてください。
『十二番目の天使』The Twelfth Angel
(オグ・マンディーノ 著 坂本貢一 訳 求龍堂 )
芥川龍之介は“ぼんやりした不安”のため自ら世を去り、人々に衝撃を与えました。
鋭い感性が人生上、文学上の苦悩に耐えられなかったのでしょうか。それから八十年余の現代、不安をはっきり感じている人が多い厳しい時代です。
事故や事件も少なくありません。普通に暮らす人が事件に巻き込まれ、大きな災難に遭ってしまったニュースを聞くと、なんとも傷ましく暗くなります。
人がさまざまな不安や辛さを抱えていても、日は昇り、沈みます。寝て起きて、食べて、働き、または勉強しなければなりません。それやこれや、目の前の事に追われて、考え事なんかしなくなります。
そうです、現代人は忙しい! 時間がない! 私も言い訳に使います。楽なところに身をおいて、がんばることはしません。今はがんばらない生き方も見直されているから、これでもよさそう。ただ、これでは感動に遠い。『十二番目の天使』を読んでそう思いました。
大会社の社長ハーディングは故郷に錦を飾ります。しかし、交通事故で妻と息子を亡くし、死のうとします。ピストルの引き金を引こうとした、そのとき、ある天使に命を救われます。
その天使こそエンゼルズ十二番目の少年ティモシーです。物語は、監督ハーディングとちっちゃなティモシーを軸に、野球への愛、思い入れ、友情、勝利の喜び、敗戦の悔しさなどなど優勝へと進むなかで描かれます。
リトルリーグ・エンジェルズ監督ハーディングはコーチに
「(ティモシーは)動きがひどくにぶくて、しかもバラバラなんだよ。どう採点したらいいものか、困ってしまってね。採点しようがないんだ。ただ、この子はあきらめないんだよね。
ひどく遅いんだけど、走るのをやめないし、バッターボックスでは空振りの連続なんだけど、全然へこたれない」
笑われてもくじけず、あきらめないティモシー。いくら練習してもフライが捕れない、ボールがバットに当たらない。しかし、ついに初ヒット! でもそれは最初で最後のヒットでした。
重い病気のティモシーを見舞ったハーディングは気付いたのです。ティモシーを励ましていた筈が、実はティモシーから生きる力をもらっていたと。そのとき、読者もティモシーに励まされたと感じるでしょう。ハンカチを用意して、我らがエンジェルズを応援しませんか?
| 固定リンク
コメント