本ほんご本ご本:古本を買いました、でも
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伝記を書こうと調べ物をしていてしばらく前に古本を買いました。
今や古本も100円で買える時代です。先日は立派な漢和辞典を105円で買い、辞典を作る苦労を察して涙が・・・は大げさですが、これでいいのだろうか。でも物によっては元値より高い。まして明治の本となれば新刊が何冊も買える値段がついている。
資料集めをしている明治のベストセラー作家で国会議員の東海散士柴四朗の足跡を知るためには、一冊くらい当時発行された著作を手に入れたいと思いました。
幸い毎月送られてくる「古本カタログ」に散士の著書がいつも載っています。でも和本『佳人之奇遇』は全16巻でちょっと手が出ない、それと復刻版を買ったしと見送ったところ、同じ作者の和本『東洋之佳人』がのっていました。写真の本で明治21年1月の発刊で自分としては思い切って買いました。
ところで今はネットの時代、図書もその恩恵をこうむっています。国会図書館に近代デジタルライブラリーというのがあって、著作権がきれた本を見ることができます。表紙から目次はもちろん中味検索だってできます。おかげで明治大正の本を居ながらにしてたくさん閲覧できました。
ある日、何となく『東洋之佳人』をみるともちろんパソコンでタダで見られます。折角買ったのにとちょっとがっかり、それで「手触りは画面からはわからないからいいんだ」と自分に言い聞かせました。
それで『東洋之佳人』ってどんな本かは続きをごらんください。
『東洋之佳人』
明治中ごろ西洋化にひたはしる日本、鹿鳴館の舞踏会華やかなりしころ、東海散士柴四朗は興津・清見潟で「東洋之佳人」を執筆した。
物語は散士が浜辺の古松の下でまどろんでいると清風が耳をかすめた。見ると松の枝に羽衣がかかってい、仙女が現れた。
「羽衣を返して」という仙女に散士が舞いを頼むと美しく舞った。舞い終わるや散士に悩みを訴えた。
「自分は令嬢旭子に仕えているが、旭子は鹿鳴館の仮装舞踏会で出会った金持ちの貴公子を慕い、ダンスや遊びに身をもちくずし、肺病を患って容色も衰え、その上、祖先伝来の財産を消費つくし、物質文明の豪華さに幻惑されている。それなのに依然として貴公子にひかれて歓心を得ようとして醜い行動をとっている」と。
散士がその家はどこかと聞くと、仙妃は涙を流して
「共に来たれ」と言いつつ姿を消した。散士が身を起すと松風そうそう、潮の音がするばかり。そこで散士は気付く、
「旭子は欧米列強に追従することに汲々としている日本そのものではないか」。
佳人と貴公子の姿をかりて時勢を憂え、日本の危機を訴える柴四朗であった。
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