歴史を今に蘇らせる
病院や銀行など待たされて嫌だけど、置いてある新聞雑誌で気になる記事が見つかると待ち時間が苦にならない。読売新聞で磯田道史という名を見、『武士の家計簿』の著者と気づき、連載されてる“古今をちこち”を読んでみた。
慶應義塾図書館の旧館、地下書庫で古文書を読み出して20年、まだ読み尽くせない・・・・・これだけでも圧倒されるのに、「何万もの和装本やさらに多いだろうマイクロフィルム版古文書を、全巻見ていくことにした」と書いてある。
こういう気の遠くなるような作業というか学問があって、何とも地味な「家計簿」を幕末維新の実録として圧倒的なおもしろさで現代に蘇らせたのだと納得した。
2010.5.26“古今をちこち”は「大久保忠隣公御覚書」を解読した話である。「家康の名誉に殉じた忠臣」幕府老中元祖ともいうべき忠隣の話はなかなか興味深かった。しかし自分は「覚書」の元の持ち主、文豪露伴の弟、幸田成友(しげとも)に目が止まった。
成友は露伴の弟でないとしても後世に名を残すほどの学者だと思うが、その自叙伝は『凡人の半生』というのである。謙虚にもほどがあると思うが、昔の学者の感覚とはそうなのだろうか。
自分の持っている『凡人の半生』は昭和23年刊で古いが、幕末維新、江戸から東京への転変を生きた記録として読んでも面白いと思う。どこかで見かけたらどうぞ。
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