松前城と開陽丸
北海道で30度が記録された6月、同行20人余と松前郷土資料館の学芸員さんに連れられ松前城、阿吽寺(あうんじ)ほか寺巡りをした。暑さにもめげず江戸時代へタイムスリップだ。
“松前の春は江戸にもない”再現の「松前藩屋敷」は広くて見所いっぱいだった。武家屋敷を見学するだけと思ったが、その一郭には「沖の口奉行所」からはじまって商家、漁家、回船問屋、もちろん武家屋敷に旅籠もあった。郭内を案内してくれたボランティアガイドさんは東京出身だという。そういえば学芸員さんも東京出身だそう、きっと松前はいいところなんだろう。
貴重な説明がたくさんあったと思うが、印象に残っているのがイカ煎餅と自身番小屋の傍らに再現された“火の見櫓”。
その昔、江戸の町も火事が多かったが松前もそのようだ。その火の見櫓を作るのに材料の木材がとても高価だったとか。再現は学問的な見地はもちろん、費用や維持などいろいろ苦労が尽きないだろう。
ちなみにイカ煎餅はいまどき安い一枚20円でイカは入っていない。でも焼いているおじさんが飄々として味があり楽しい。写真撮る前に食べちゃって紹介できないのが残念。
松前城はコンクリートで復元されたものだが、石垣は昔のままで戊辰戦争時、榎本武揚の開陽丸に砲撃された。その時の砲弾跡が三つ(写真)、どれもソフトボールくらいの大きさで穴は深くない。学芸員さんの説明がなければ見逃すところだ。
松前城を攻撃した開陽丸は江差沖で暴風雨のために沈没したが、復元されて江差の海に浮かんでいる。この地では北前船の昔から冬は運行しないそうだ。戦時ということもあるが気候風土、地理に暗いと痛い目に遭いそうだ。
松前城と開陽丸とに戊辰戦争の傷跡を見、思いがけず北海道で幕末維新の昔を振り返ることになった。
ところで開陽丸に近づいたら「釣り禁止」の看板がある。岸壁と船の間に目をやると魚がウヨウヨ、釣り堀状態だ。なるほど釣ってみたくなるだろうと思った。座礁した開陽丸が住処になっている魚もいるだろうか。
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