光復映画/韓国の8月15日
今年は日韓併合100年にあたり首相談話が発表された。その内容についてそれぞれの立場から議論があり新聞テレビなどで報道されている。恥ずかしながら「日本が韓国を植民地支配した事実を避けて通れない」と思ったのはそう昔ではない。
『明治の兄弟 柴太一郎、東海散士柴四朗、柴五郎』を執筆中、朝鮮半島へ渡った兄弟それぞれの目的や意味を知ってからである。当時かなりの日本人が朝鮮へ赴いた。役人、浪人、商人などなど。
その当時の日本は朝鮮半島を圧迫し、ついには支配してしまう。その併合条約が結ばれたのが100年前の8月22日で、日本が戦争に負けた1945年8月15日に解放される。韓国はこの日を光復、奪われた主権の回復を光復節とし現在でも祝日としている。
この解放を主題とする映画を光復映画というと『韓国映画史』(キネマ旬報社)にある。
何気なく手にした『韓国映画史』だが、「開化期から開花期まで」の副題通りさながら日韓の近代史となっている。韓国映画、今のも昔のもあまり見ていないがこの本は分厚さにも負けず読み通し、人にも勧めたくなった。韓国から日本が見える、それも善い日本とはとはいえない。けれど、日韓双方のこれからのため、知っておいた方がいいと思う。
光復映画が登場した時の映画制作の環境は劣悪だった。しかし、36年にわたる日本帝国主義の植民地統治から解放された感激と民族の矜持を映画で表現しようとする情熱は止められなかった。そのため民族の気概をとどろかせた人物や義士、烈士など、独立闘士に関するもの(『安重根史記』『ユン・ボンギル義士』など)と、解放と新しい祖国建設への期待を劇化する映画(『自由万歳』など)が先を争うように制作された。
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