風はどこへいくの
歯医者さんから絵本の展覧会の案内をもらって行ってみた。絵本店【ぎゃらりー遊】に入ると「ムーミン」のキャラクターが目に入った。子どもに絵本を読みきかせていた昔が思い出され、懐かしかった。
『かぜは どこへいくの』(シャーロット= ゾロトウ作 ハワード=ノッツ絵 まつおか きょうこ訳)
題名にひかれ鉛筆画の挿絵も気に入った。孫も来年は中学生、絵本を勧めても読みそうもないが買ってしまった。
物語はこうだ・・・・・・「昼がおしまいになったら、お日さまはどこへいくの?」「風がやんだら、そのあとどこへいくの?」ちいさな男の子には、ふしぎなことがいっぱい。母親は、この世のものはすべて終るのでなく、別のところでふたたび、ちがった形ではじまることを教える。
・・・・・・さ、いまはねるじかん。そして、あした あさがきたら、お月さまは、どこかとおいところへいって、そこでは夜がはじまるし、お日さまは、ここへきて、あたらしい一日をはじめるのよ。
風はどこに行くの?に、エッ、風の行き先なんて思ったことない。水は流れ、雲はゆく、去っていくイメージだ。ところが、風は吹きくる、吹き付けられたのように来る、止まるの感じだ。でも、風はやんでも「また遠くへ吹いていって、どこかでまた、木をゆらし」終わらないのだ。
“風”は、目に見えなくても肌身で実感できるから、有名無名いろいろな風が吹いていそう。探してみた。知ったかぶりで「風蕭蕭(しょうしょう)として易水寒し」中国春秋時代の刺客、荊軻(けいか)の故事をと思ったけど、これでは曾おじいさんと曾孫ほどの差になる。通じ合うのは難しい。それでは詩人の風はどうかな。
『吉野弘詩集』(初版1968年現代詩文庫)の一篇「風が吹くと」
風が吹くと おじいさま お池の水に シワがたくさん 出来るのね
なにが吹くと おじいさま おでこやほっぺに シワがたくさん できちゃうの
風がやむと おじいさま お池の水の シワがきれいに 消えるのね
なにがやむと おじいさま おでこやほっぺの シワが消えるの お池のように
ところで、あなたにいい風吹いてきたことありますか?人に尋ねる前に「そういうおまえは?」って言われると、ウーン。
さすがに9月も半ば、風が通り抜ける。
人生にいい風と欲張らないが、せめて心地よい風に吹かれたい。
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