柴五郎再婚そして清国赴任
NHKテレビ「蒼穹の昴」に柴五郎がなにかと登場している。ドラマとどこで交錯するか判らないが、1899(明治32)年、五郎はロンドンの英国公使館勤務をおえ、東ヨーロッパ、インド地方を視察しつつ帰国する。
イギリスから帰国した五郎は参謀本部に出仕していたが、ちょっとの間という内命で清国公使館付となった。五郎の前任青木宣純はいったん帰国したのち、別途、秘密裏に袁世凱のもとに派遣された。
五郎は6年にわたる二度目のイギリス駐在から帰国したが、僅か半年でまた海外赴任となったのである。まさに南船北馬であるがこの短い国内勤務の間に五郎は再婚する。 陸軍武官結婚条例により勅任官(天皇が任命)が結婚する場合には勅許が定められていたので、五郎も結婚願をだした。
「結婚願」
佐賀県佐賀市大字松原百三十一番地
士族無職業 鍋島半八郎妹
ミツ 明治三年一月一日生
五郎儀
今般熟談ノ上 右に記載ノ者ト結婚致度依テ
別紙身元証書相添差出候間御許可被下度此段奉願候也
明治三十二年十二月十八日
陸軍砲兵中佐 柴 五郎
陸軍大臣子爵 桂 太郎殿
資料写真:国立公文書館(防衛研究所陸軍省大日記類)より
陸軍省と参謀本部の受領番号がある結婚願に「身元保証書」が添えられているが、五郎は参謀総長侯爵大山巌、ミツは佐賀市長石丸勝である。ちなみに森林太郎(森鴎外)の結婚願も桂太郎に出されている。
鍋島文武六女で明治三年生れのミツ30歳は41歳の五郎のもとに嫁いできた。柴家にはすでに「みつ」がいるのでミツは花子と改名、谷干城家に預けられていた七歳の長女みつを引き取った。間もなく次女春子が生まれた。柴花子は二人の娘を育てながら軍人の妻として家を守り、夫の長い留守にも耐えた。
谷干城夫妻は四朗ばかりでなく、五郎にとっても恩人であった。谷も五郎も共に清廉、実直の人であり、無欲で国の為に働いた軍人として通い合うものがあったのである。
『明治の兄弟 柴太一郎、東海散士柴四朗、柴五郎』 第六章 義和団事変(北清事変)より
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