野沢雞一、星亨の伝記編著者 (福島県)
『明治の兄弟 柴太一郎、東海散士柴四朗、柴五郎』を執筆中、いろいろ史資料にあたるうち興味深い人物に出会い、そっちに深入りしたくなることがあった。その一人が星亨である。
星亨は江戸の出身。自由民権運動で自由党幹部として活躍した。1892明治25年衆議院議長となるも不信任案で議長除名。その後、伊藤博文内閣の逓信大臣になるが汚職容疑で辞職、明治34年暗殺された。ざっとみても毀誉褒貶相半ばの人生、好き嫌いがはっきり分かれそう。
この星の伝記を編纂したのが野沢雞一で陸奥国河沼郡野沢村(耶麻郡西会津町)に1852嘉永5年に生まれた。
野沢は京都で英学を学んでいたが、戊辰戦争のとき会津出身のため薩摩藩士に捕らえられ獄につながれた。
大赦で解放されると、大阪開成所、次に横浜の修文館で学んだ。その修文館の教頭が星でここから交際が始まった。やがて星の東京宅の食客、横浜税関で上司と部下となり野沢は星の門人となったばかりか、星と野沢の夫人は姉妹で二人は義兄弟でもあった。なお、野沢については
『星亨とその時代』(東洋文庫)の解説に詳しい。
星亨くらいの人物になると他にも伝記があると思うが、野沢雞一は星の伝記編著者にふさわしいと分かる。どんなに人格高潔、立派な業績があっても伝記作者がいないと、広く世に知られ難い。坂本龍馬だって、司馬遼太郎という作家を得て、いっそう愛すべき傑物として知られるようになったと思う。そういう出会いって運命なのだろうか。
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コメント
こんにちは。
野沢雞一について書いて頂いて有り難うございます。私の先祖なのですが、あまり知られた人物ではない為もっと知ってもらいたいと思っていたところです。
これからも歴史に埋もれた人物などのお話楽しみにしております。
投稿: りっくす | 2011年6月27日 (月) 17時45分