五日市憲法草案・千葉卓三郎(宮城県)
文化の日と言えば文化勲章が授与されるが等級はないそう。第1回は物理学者、天文学者、歌人・国学者、洋画家、日本画家の9人が受賞。その中に幸田露伴がいるとは知らなかった。勝手に、勲章を貰わない人と思っていた。
ところで、ふと、文化ってなんだろうと思い『国語辞典』(旺文社)をひいてみた。
①世の中が開け進むこと。文明開化。 ②人類が自然を材料とし、一定の目的にしたがって理想を実現していく課程。
【参考】 狭義には「文明」は技術の発展を中心とする物質面の成果をいい、「文化」は人間の精神的な価値の成果をいう。
辞書にある「文明開化」、歴史をかじる者としては明治の初め近代化を急ぐ日本が思い浮かぶ。当時の日本は欧米の近代的技術、社会制度、風俗習慣を取り入れるのに大忙しだった。そして新日本の基本となる組織が必要となり憲法起草の動きが広がった。憲法案が幾つも残されている。
中でも有名なのが一般民衆の学習成果が内容に反映された五日市憲法草案、西南戦争からわずか4年後、早くも人権保護規定が入っていたと言うから驚く。
その憲法案を指導したのは自由民権家の千葉卓三郎(1852嘉永5~1883明治16)である。卓三郎は仙台藩士の長男で戊辰戦争に参加。のち江戸や横浜で儒学、キリスト教などを学び五日市の勧農学校教員となる。そこ東京の西部、三多摩で学習結社のブレーンとなり、同士の協力を得、憲法草案を起草したのだ。
若き千葉卓三郎を中心とした無名の人々や他の地方でも憲法起草に関わった民衆は、理想の実現に向かっていった。
それから130年、文明は進み便利になったが、原発事故のような怖ろしい災難をもたらしている。その一方、人間の精神的文化の方はどうだろう。
写真は愛用の辞書類。『近現代史用語辞典』(安岡昭男編・新人物往来社)はひきやすく簡潔で便利。
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