鉄道・ハイからさんのロンドン小唄
♪ ハイからさんのロンドン小唄(1874明治7年7月20日・新聞雑誌)
一ツとや、 人のしかれし龍動(ロンドン)は、往還左右はペブメント、ペブメント(敷石道)二ツとや、文のやりとりぞうさなく、ビルロルポスト(郵便箱)にテレガラフ、テレガラフ(電信機)
四ツとや、 よくもできたる土地の中、蒸気車のオンドルグロートン、グロートン(地中掘貫鉄道)
八ツとや、 役々揃うて大議論、集まる所はパリヤメント、パリヤメント(議事院)
十一とや、 市より田舎に至るまで、ニウスペープル(新聞紙)売りあるくプハボーイ
イギリスから帰国途中、留学生が太平洋上の船中唄ったという数え歌。1874明治7年と言えば、板垣退助・副島種臣ら民撰議院設立建白書を提出、「朝野新聞」「読売新聞」創刊の年である。
ロンドンではすでに11年前から蒸気けんいん方式の地下鉄道が開通していたのである。そのころ日本は、新撰組が京の町を闊歩していた幕末動乱のさなかである。
近ごろ大学の公開講座がさかんであちこち行くが、理数系はさっぱりで、講義について行けない。が、先日、東京理科大学で「鉄道旅情編」があり行ってみた。それで世界で一番古いロンドンの低下鉄に目がいったのだ。
講座の前半は“JRの路線を全線完乗した鉄っちゃん”こと宮村和夫氏。
スライドを見、話をきいて旅にでたくなった。また化学分析の教授から聞く放射能の数値について「観光に行ける場所は心配するほどでは無い」は説得力があり、いつか東北にと思ったのは私だけではなさそう。
後半は「世界の鉄道」。講師は新幹線を海外に売り込む仕事をされていてインドから帰国したばかりという秋山芳弘氏。
実際に世界の鉄道を乗り継いだ人の話は深い。レジメにある数々の列車の写真、乗り心地や環境を聞いてどれにも興味津々、行間からその国の情勢が垣間見えたりする。鉄道の種類ばかりか軌間(ゲージ・レールの内側の幅)の違いも改めて教わりながら、鉄道を敷く意義や葛藤、重要さを改めて考えさせられた。
ゲージの標準軌1435mm、ヨーロッパ・日本の新幹線も。JRの在来線は1067だが、民鉄の1372は馬車鉄道から発達したという。海外ではフィンランドとモンゴルの列車は直通運転できるという。それにはロシアの影響下にあったという歴史がある。
いろいろ新鮮だったが、日本は旅客鉄道が発達しているが世界では貨物鉄道が大半と聞いて、鉄道=乗り物だったが、運ぶ物の役割も重要だとわかった。
日本は旅客が黒字だが、アメリカでは7大貨物会社があってみな黒字だという。レジメには「アメリカ・ダブルスタックトレイン」にはコンテナが2段重ねになった貨物列車がえんえんと続く写真がある。これなら一度に大量の物資が運べるが、コンテナ2段積みではトンネルは通れない。という訳で広いアメリカ、中国、ロシアと大陸は貨物輸送が盛んだ。
その他いろいろ。内戦で破壊されたアンゴラでは、仮設線路の補強に破壊されたが残ったものを積み重ねて使っていたり、ラオスではタイとの国境でレールが切れている。非合法だけど住民の足となっているバンブートレインなんていうのもある。
南アフリカの列車、ワールドカップに合わせてできたというハウトレイン、写真のそばに女性駅員が二人と思いきや、それは防弾チョッキをきた警務員で各駅に30人くらいは居るそう。もちろん各列車にも乗り込んで警戒しているという。
ツアーでしか海外に行ったことがない身だから自由に鉄道に乗るのは憧れるが、内戦で焼かれた駅や治安の話をきくと無理かな。でも世界は広い、機会があったらね。
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