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2021年8月 7日 (土)

スポーツの話あれこれ

 2021.7.23夜。日本も世界もパンデミック、コロナ禍さなか、開催反対もあるなか“2020東京オリンピック”が1年遅れで開催された。そして、毎日テレビに映るのは、さまざまな競技で活躍する選手と増え続ける感染者数、感動するそばから不安がよぎり落ち着かない。


   <返上された東京大会
  ―――1940昭和15年の第12回大会は、ベルリン大会の直前、ヘルシンキと争う、36票対27票で東京と決まった・・・・・アジアではじめてのオリンピックだったので世界各国とも大いに期待・・・・・しかし、戦火はますます広まっていき・・・・・1938昭和13年、7月16日、大会を返上することに(『オリンピックの歴史』)。

 1964昭和39年、第18回東京オリンピック大会。57年前の開会式は青空、カラーテレビに映える華やかな行進が印象的だった。
 しかし今回、2020東京大会はコロナ禍さなか、夜間の開会式、無観客。それでなくても物寂しいのに不祥事続き、当事者でなくとも不安がよぎる。先の戦争ではないが始めたら最後、止まるも引き返すもないもののようだ。
 それでも競技が始まれば見てしまう。初めて見るスポーツは物珍しく、お馴染みの水泳や体操に見入り、下手の横好き卓球、侍ジャパンの野球は応援にも力が入る。
 いずれにしても、どの競技にも語り継ぐべき物語があり、それを辿れば一巻の物語となるはず。しかし、筆者の手に余る。そこで、けやき流に“スポーツ”を見てみた。

   <明治期のスポーツの翻訳語:遊戯と競力
 1870明治3年、福澤諭吉は『西洋事情』でイギリスの学校に設置されていた運動場設置とそこで実施されていたスポーツ(遊戯)を最初に日本語で紹介した。


   <東京大学の体操とベースボール
 東京大学の前身・工部大学校は、学生の日課表に「体操」を設けていた。徒競走・ウォーキング・障害走・幅跳び・走り高跳び・棒高跳び・ハンマー投げ・石投げ・フットボールのドロップキック・三段跳び・水泳など。
 「遊戯」として、フットボール・シンティ・ラウンダース・輪投げ・馬跳び・陣取り遊び・ベースボール・クリケット・ローンテニス・ローンボーリング(芝生でのボーリング)・イブス(イギリスの伝統的遊戯)・ゴルフなど実に多彩であった(『スポーツの歴史と文化』)。


   <人生になぞらえるスポーツでの試練
 日々の生活において、試練に向き合い、克服しなければならない面に遭遇することがあります。スポーツを通じて試練を克服してきた経験は、そうした困難に立ち向かう勇気と自信になります。スポーツでは、まわりで支え応援してくれる監督やコーチ、仲間、サポーターなどの存在があるように、人生においても周囲の人々に支えられて試練を克服していきます(『「ひと・もの・ことば」から読み解くスポーツ文化論』)。

   <高齢女性がスポーツに参加するメリット
 癌リスクの軽減と心臓の健康増進以上に、女性は身体運動を行うことによって身体的メリットを得る。適度な運動により、メンタルヘルスの維持、骨粗しょう症予防、認知症の緩和、体重やバランス・動作に影響を及ぼす体幹の筋力を維持できる・・・・・
 認知機能(記憶力、記憶保持能力)、体重、柔軟性、体力、心理見方、社会とのつながりなど、健康とウェルビーイングを示す様々な私評を考慮すれば、活動的であればあるほど女性は寿命が延び、QOL(生活の質)も向上する傾向にある。

   <スポーツを続けて上手に歳をとる
 歳をとっても競技を続けるアスリートは、上手に歳をとる確率が高いと言われている。この「上手に年を取る」という言葉は、生活満足度や心身のウェルビーイング、安定したQOL(生活の質)に良い影響を及ぼす運動機能と認知機能を保ちながら、有意義に活動している高齢者の成果を言及する数多くの研究者が使っている・・・・・定期的にトレーニングを行っている女性も、加齢に関する慢性的な健康障害や病気を経験することが少ない(『女性・スポーツ大辞典』)。

   <スポーツ観戦で健康に
 賛否両論ある中で東京オリンピックが始まった。悔しさや、けがや障害などの苦難を乗り越え、5年もの歳月を練習に明け暮れ、自分やライバルと戦い抜いた選手たちが活躍している。混合ダブルス決勝で中国を破り、日本卓球界初の金メダルを決めた瞬間のテレビ視聴率は40%を超えたという。数千万人の国民が観戦し、思わず「ガンバレ」とか「ヤッター」とか叫びながら、ガッツポーズをしていた計算になる。
 スポーツかんせんだけでも人は元気になるのか・・・・・中略・・・・・月1回~年数回、現地で観戦、るいは毎週テレビ・インターネットで観戦している人は、全く観戦していない人に比べ、うつリスクが3割低かった。みるだけでも健康に良いのだ・・・・・中略・・・・・今回のメダルラッシュのように、勝つほど治療効果は大きそうだ。選手たちだって、観客の声援で、より大きな力が出るという。やはり人は、共感する社会的動物なのだ(暮らしの明日・近藤克則)。

   <スポGOMI甲子園2021> 高校生がごみ拾いをスポーツとして競う大会「スポGOMI甲子園2021」(実行委員会主催日本財団「海と日本プロジェクト」共催)が10月、東京都内で開かれる。前年全国を制したのは埼玉県立川口工業高校掃除部からは7チームが出場する(毎日新聞2021.8.6)。

   <「東京水」うまみない五輪「厳戒下の祭典で」>
 都内の大きな体育館で試合があった折、競技場入り口に「東京の水道水」が入ったウオーターサーバーが置かれていた。対戦相手が上手で歯が立たず、やたらと喉が渇き水筒がすぐ空になった。さっそく「東京の水」を飲んだら、冷たくて美味しい。
 同じものが選手村や競技会場に置かれていた筈、飲んだ人はきっと喜んだでしょうに「うまみない」って何? 記事によると、
  ―――開催都市・東京都は今回の大会を通して自慢の水道水「東京水」をPRしようとしたものの、五輪スポンサーへの配慮で愛称が使えず、新型コロナウィルス感染拡大のために宣伝の機会も限られてしまった・・・・・
「スポンサーへの配慮 PR機会少なく」東京都は高度経済成長期に河川の汚れが進み、水道水の臭さが問題化した。
 1989年以降、浄水場に「高度浄水処理」などの導入をなどを進め、今では目隠しで飲み比べをしても4割の人がミネラルウォーターよりおいしいと・・・・・東京の浄水技術を途上国に売り込むきっかけにしたかった(毎日新聞2021.8.6)。

   参考: 『オリンピックの歴史』鈴木良徳1982ポプラ社 / 『スポーツの歴史と文化 スポーツ史を学ぶ』新井博・榊原浩晃2012道和書院 / 『「ひと・もの・ことば」から読み解くスポーツ文化論』田里千代・渡邉昌史2019大修館書店 / 『女性・スポーツ大辞典・子どもから大人まで課題解決に役立つ』エレン・スタウロウスキー編著2019西村書店 / 毎日新聞2021.8.5「くらしの明日-私の社会保障論」近藤克則

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