『ぼくも、わたしも、ここにいる』 『ぼくたち、わたしたちの学校』etc

このほど本が届きました。
さっそく開くと、写真や絵、イラストが豊富で「ゆめの森学舎」が明るくいきいきしている。生徒に先生、手助けする人、見守り応援する町民、みんなの眼差しが温かい。
先日のNHKニュースで大熊町の運動会(12年ぶりでしょうか)を放映していた。
子どもも大人も笑顔、元気いっぱいグランドを走り回っていた。
その姿を見たせいか、「ゆめの森」の本からも笑い声が聞こえるよう。
そうはいっても、ここまでの道のりは長く、この先もね。せめて、気持ちだけでも寄せたい。
大熊町にお邪魔したのはもう20年くらい前かな。
木々の緑がとても濃いのが印象的だった。そして、橋の上から小魚が泳ぐのが見えるほど川の水が澄んでいたのに感心、静かで景色が良い所と思った。
その節、連れて行ってもらったスーパーマーケットの駐車場の広さ、尾頭付き立派な鯛が木箱で無造作に売られていたのに、びっくり。果物ほか畑作物に加え、海の幸も豊富なのに感心した。
また梨畑の傍らを散歩して夫の故郷・伊那谷の梨畑と雰囲気が違うのを感じた。梨の種類でなのか、地形のせいか、風向きか分からないが、いずれも緑が深い。
ほかに大熊町で素敵だと思ったのが、しゃれた図書館である。遠目で見かけ、ホテルかと思った。
大熊町は本好きが多いそうで読書の町をうたっている。原発事故前の大熊町立図書館は子どもも大人もゆったりできる好い場所だった。
ところが、2011東日本大震災原発事故! 建物があっても入れない。
そしてそれから12年。2023年令和5年、「ゆめの森学舎」ができた。
学び舎の蔵書もおいおい増えていくでしょう。
3冊を紹介する前に大熊町がどんな町だったか、『ふるさとの文化遺産 郷土資料辞典7 福島県』(1998人文社)で見てみた。
読むと、大熊町に行ったことがない人も大熊町の良さが汲みとれ、失ったものも察せられるでしょう。
<福島県双葉郡大熊町>
―――熊川の扇状地に発達した農村で、1954昭和29年11月、大野村と熊町村が合体して町制を実行した。 町域の西部には日隠山(ひがくれやま602m)をはじめとする山岳丘陵地帯が起伏しており、東に向かうにつれて平坦地に変わり、海岸に沿った長者ヶ原その他には海食台地が残っている。 農業では米作がさかんで、養蚕・畜産なども行われている。大野の辺りには果樹園が広がり、ナシが栽培されている。
水産業は熊川をさかのぼってくるサケ漁が有名であり、西部地域では製材など林業が行われている。 工業もしだいに発達し、大熊東工業団地造成されて、化学・薬品工場が立地している。 夫沢地区から北隣の双葉町に及ぶ広大な地域に東京電力福島第一原子力発電所が建設されている。・・・・・以下略。
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『ぼくも、わたしも、ここにいる』
2021(福島県大熊町の9人の子どもたち)
東日本大震災から10年。アートの力で世界をつなぐ画家*蟹江杏と福島で生きる9人の小学生が描く 今、そして未来。
「はじめに」
―――会津若松市の大きな校舎、大きな校庭に、全校児童たった9人の子どもたち・・・・・ とても素直で皆笑顔であいさつしてくれました。すてきな学校だなと思いました。・・・・・(中略)・・・・・この本は、そこで学ぶ9人の子どもたちと取り組んだアートワークショップと交流の成果をまとめた一冊です。
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子どもたちの「今」
あいるちゃんは勇敢な女の子 ・ ここなちゃんの秘密の扉 ・ あきらくんは小さなピアニスト ・ お絵かき大好き、かおんくん ・ れなちゃんに教わったこと ・ ゆりかちゃんと8人のきょうだい ・ ののかちゃんの笹舟 ・ あけみちゃんという名の太陽 ・ はなちゃんの魔法の町
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こどもたちの「未来」
蟹江杏:かにえ あんず。画家・NPO法人「3.11こども文庫」理事長。世界の子ども達たちをアートでつなげる活動をしている。その他、活動は多岐にわたる。
『ぼくたち、わたしたちの学校』
2022(大熊町の子どもたちとおおくま教育応援団)
福島県大熊町の9人の子どもたちと4人の専門家による唯一無二でエキサイティングな「未来の授業」。
○ 瞳を閉じると何が見える?
○ 今、そして未来について語ろう
音のワークショップ ・ SDGsのワークショップ ・ 空のワークショップ ・ 食のワークショップ
○ 大熊の子どもたち 文・蟹江杏
○ 対談:理想の教育について語ろう
鬼沢真之(自由の森学園理事長)×佐藤由弘(大熊町立小中学校長)
○ 突き抜け感
大熊町教育委員会教育長 木村政文
『ぼくの、わたしの、友だち』
2023(大熊町の子どもたちとおおくま教育応援団)
アートワークショップ <友だちから「世界」が見える>
―――友だちと向き合って見つけたことを、漫画と絵、作文の3ステップで表現しました。 まず、くじ引きでペアを決めて、お互いの思い出に残るエピソードを4コマ漫画に。 うれしい顔や困った顔、おしゃべりの内容やそのときの音まで読み手に伝わるように書き込んだら、次は、その漫画を一枚の絵にします。・・・・・ 最後の仕上げは作文。・・・・・あらためて気づいた友だちへの思いを、「ことば」で表現することに挑戦しました。・・・・・ そう、友だちは「世界」を知るための最も身近な窓なのです。
―――学び舎 ゆめの森が取り組む「創造的演劇教育」2022年度 オリジナル演劇
~~ゆめの森~雪の結晶は天から送られた手紙~~
本書には舞台写真、出演した子らの扮装写真が多く掲載され、当日の雰囲気を醸し出す。
次に舞台の雰囲気が伝わる生徒の作文を一部引用、出演者が愉しいと見る側も楽しいに違いない。
「ゆめの森海賊団のかっこいい姿」 6年生
*木村準さんが動きやセリフの言いかたをおしえてくれました。本番では、「ぼくの前に道はない、ぼくの後ろに道はできる。ぼくの後ろについて来い。」などのかっこいいセリフを大きな声で言う事ができました。また、*関口さんが作ってくださったきょくを、大きい声で歌うことができました。関口さんの曲は、とてもいい曲でした。蟹江杏さんがみんなのぶたいをキレイにつくってくださいました。白い花がキレイでした。いい思い出になりました。
関口直仁:せきぐち なおひと。作曲家・音楽監督・バリトン歌手。
木村準:きむら じゅん。演出家・俳優・ワークショップデザイナー・日本語教師。
「演劇がくれた私の新たなゆめ」 8年生
―――練習では、ときどき辛くてもうやりたくないと思ってしまう時があったけれど、キムジュンさんやみんなが「大丈夫。」とか「一緒にがんばろう。」と私を助けてくれる言葉をかけてくれたおかげで、最後まで頑張ることができた。 一番心に残っている事は、当日の本番前に、練習の中であった出来事を振り返ったことだ。みんなで輪の形になり、目を閉じて、今まであったことを思い返した。私はいままでどれだけ多くの人に助けてもらったかを思い返した。友人や先生方、キムジュンさんなど、頭の中がいっぱいになるほど浮かんできた。・・・・・(後略)。
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