日本映画大学/『映画の真実』
専門学校「日本映画学校」が来年4月、国内初の映画単科大学として川崎市に誕生、初代学長に佐藤忠男さんが就くという。(毎日新聞“ひと”2010.11.17)。
映画は子どものころから好きだった。東映の新諸国物語「笛吹童子」や「ゴジラ」などを見た。やがて洋画を見るようになって、アラン・ドロンやアンソニー・パーキンスにうっとり。リバイバルで、ジェラール・フイリップをみて素敵だと思った。
結婚して子育てが終わると、盆暮に夫婦で寅さん映画を楽しみ、時には友人と岩波ホールで洋画「八月の鯨」をみたりした。それらやジェームス・ディーン「理由無き反抗」等、だいぶ昔だが忘れられない。
今もたまには夫婦で映画館に足を運ぶが、テレビでも見る。ついこの間見たような気がする「チェンジリング」を映画チャンネルで放映していて、はやいなと思った。
テレビやDVDで再度みると、映画館では見逃していたことに気づいたりするから、これはこれでいい。でも、やっぱり映画は映画館で見た方が記憶に残るような気がする。
『映画の真実』(佐藤忠男・中公新書)を読んでなおそう思った。著者は
「映画は森羅万象を扱うから人間や社会に無関心な人には向かない」というが同感である。
それにしても映画は何を映しているだろう。何事も美化して描いているかも知れない。
「たとえばアジア映画を観て、アジアの現実がわかるだろうか。映画に描かれた世界は美化されているのでわからないと批判するのは簡単だ。しかし美化された理想に共感しながら見るのも楽しみ方の一つだ」
『映画の真実』はこのように、文化の多様性を表す映画を語りながら、日本内外の映画入門として読者をひきつける。さて、どこの映画館へ行って何を見ようか。